Leta: 進化するアペリティーボ

ローマ屈指のスタイリッシュなホテルとして知られるW Rome。モダンラグジュアリーを体現するこのホテルでは、イタリア各地の人気バーやトップバーテンダーを招いたゲストイベントが定期的に開催され、ローマのバーシーンでも注目を集めています。
先日、そのW Romeで行われたのが、イタリア生まれのプレミアム・ノンアルコールアペリティーボ「Leta(レタ)」をフィーチャーした一夜限りのイベントです。
ゲストバーテンダーとして迎えられたのは、ローマの人気レストラン兼カクテルバーLa Ménagère Roma(ラ・メナジェール・ローマ)のバーマネージャー、Flavio Feola(フラヴィオ・フェオラ)率いるチーム。彼らはLetaをベースに、ローマという土地やイタリア料理を表現した独創的なカクテルを披露しました。
これまで数多くのノンアルコールカクテルを飲んできましたが、この夜ほど「ノンアルコール」という言葉のイメージを覆された経験はありません。甘いジュースでもなければ、お酒の代用品でもない。そこにあったのは、ノンアルコールと感じさせないノンアルコール、新しいアペリティーボです。

ノンアルコールという新しい選択
イタリアと聞くと、多くの人がまず思い浮かべるのはワインではないでしょうか。昼食にワイン、夕食にもワイン。そんな食文化が根付いている一方で、近年のローマやミラノのバーシーンでは大きな変化が起きています。
それは、Low ABV(低アルコール)やノンアルコールを積極的に楽しむという新しい風潮です。健康やウェルネスへの関心の高まりに加え、Mindful Drinking(意識的に飲む)やSober Curiosity(あえて飲まないライフスタイル)といった考え方が浸透し、お酒との付き合い方が変わり始めています。
かつてノンアルコールを選ぶ理由といえば、「車を運転するから」「妊娠中だから」「今日はお酒を控えたいから」といった、どちらかといえば消極的なものが中心でした。しかし今では、「美味しいから飲みたい」「料理との相性がいいから選びたい」という、より前向きな理由でノンアルコールを注文する人が増えています。
今回のイベントの主役となったLetaは、まさにその新しい流れを象徴しています。
南イタリア・プーリア州出身の創業者Antonio Galetta(アントニオ・ガレッタ)によって生み出されたLetaは、「ノンアルコールでも、本格的なアペリティーボを楽しみたい」という思いから開発されました。
アントニオ自身が、市場に出回っているノンアルコール飲料の多くに「甘すぎる」という違和感を抱いていました。ジュースのような甘さでは、食前酒ならではの心地よい苦味や、料理への期待を高める役割を果たすことはできません。「それなら、自分が本当に飲みたいと思えるものを作ろう」。そんな発想から誕生したのがLetaでした。
Letaが目指したのは、お酒の代用品ではありません。ハーブの香りやビターな余韻、食事との相性を大切にした、大人のためのドリンクです。

地中海の風景をそのまま閉じ込めたような味わい
Letaの最大の魅力は、南イタリアの風景を思わせる個性的なボタニカルにあります。主な原材料には、オリーブ、ビターマンダリン、ローズマリー、タイム、タンポポ、ハチミツ、そして唐辛子が使われており、ハーブの香りと心地よい苦味が、料理の味わいを引き立てるように設計されています。
まず立ち上るのはローズマリーやタイムのみずみずしいハーブの香り。その後を追うように、ビターマンダリンのほろ苦く上品な柑橘のニュアンスが広がります。口に含むと、タンポポ由来の穏やかなビター感がゆっくりと続き、さらにオリーブが驚くほど自然な丸みと滑らかな口当たりを与えています。ごくわずかに加えられた唐辛子がほのかなアクセントとなり、味わい全体を引き締めます。といっても辛さを感じるほどではなく、後味に心地よい余韻を残しています。
Letaの公式サイトでも、シンプルながら素材の個性を生かしたカクテルレシピがいくつか紹介されています。
Leta Spritz: Leta 40mlにトニックウォーターを注ぎ、たっぷりの氷とオリーブを添えるだけ。アルコール入りで楽しみたい場合は、トニックウォーターをプロセッコに替えるだけで、軽やかなスプリッツにアレンジできます。
Leta Americano: Leta 40mlをソーダで割り、氷とレモンピールを添える。材料が少ないからこそ、Letaが持つハーブの香りやビターな余韻が際立ち、食前酒としての魅力を存分に味わうことができます。
Leta Paloma: Leta 40mlにグレープフルーツソーダを合わせ、氷をたっぷり入れたグラスにフレークソルトとオレンジ、またはグレープフルーツを添えて仕上げます。柑橘の爽やかさに塩味がアクセントとなり、地中海を思わせる軽やかな味わいです。

La Ménagère × Leta
今回のイベントでゲストバーテンダーを務めたのは、ローマの人気レストラン兼カクテルバー、ラ・メナジェール・ローマのチームです。
フィレンツェの人気店 ラ・メナジェールは、レストランとバーの境界を越えた新しいガストロノミーを提案する店として知られています。ローマ店もオープン以来、料理とカクテルの両方を高いレベルで楽しめる場所として多くの人々を魅了しています。
この夜、バーカウンターに立っていたのは、バーマネージャーの Flavio Feola(フラヴィオ・フェオラ)。彼が考案した4種類のカクテルは、どれもLetaの個性を生かしながら、「料理」と「土地」を一杯のグラスで表現したものでした。

ANNAMO
Leta, Gin, Dry Vermouth, ローマ風アーティチョークフォーム
ローマのヴェネト通りにあるウェスティン・エクセルシオール・ローマで生まれたクラシックカクテル「カルディナーレ」をアレンジしたものです。レタをベースに、ジンとドライベルモットを加え、ローマ風アーティチョークをイメージした繊細な泡で仕上げています。
グラスを口元に運ぶと、まずアーティチョークのフォームの香りと穏やかな苦味が広がり、そこへジンのボタニカルとドライベルモットの繊細なアロマが重なります。そしてLetaに使われているオリーブやローズマリー、タイムといった地中海のボタニカルが驚くほど自然に響き合い、このカクテルをまったく別の次元へと引き上げています。
着想源となっているのは、ローマを代表する郷土料理 Carciofi alla Romana(カルチョーフィ・アッラ・ロマーナ)。アーティチョークをオリーブオイルやミント、ハーブとともにじっくり煮込んだ家庭料理で、ローマでは春の訪れを告げる味として親しまれています。
その土地の料理を泡と組み合わせてカクテルへと昇華させる、その発想は実にユニークで、まるでグラスの中にローマの風景を閉じ込めたような、美しく完成度の高い一杯です。

SCIAMU
Leta, タラッロ, 完熟トマト, ブッラータ
ベースとなるLetaにプーリア州の伝統的な焼き菓子タラッロ、完熟トマト、そしてイタリアを代表するフレッシュチーズのブッラータという、まるで料理のレシピのような食材が組み合わされています。
タラッロは、小麦粉やオリーブオイル、白ワインなどから作られるリング状の焼き菓子で、プーリアではアペリティーボの時間にワインのお供として欠かせない存在です。
実際に味わってみると、その組み合わせには明確な意図があることがわかります。
完熟トマトのみずみずしい酸味、ブッラータのまろやかなコクが重なり、タラッロの香ばしさが心地よいアクセントになります。Letaのハーブの香りとビターな余韻が引き締め、それぞれの素材を一つの味わいとして見事にまとめ上げています。

LET’S GO
Leta, ジャマイカンラム, バニラ, 焦がしバター, ブルーベリー, チョコレート
ベースにはLetaとジャマイカンラムを使用し、バニラ、焦がしバター、ブルーベリー、チョコレートという、まるでパティシエがデザートを組み立てるような素材が贅沢に重ねられています。
一見すると濃厚で甘いカクテルを想像しますが、実際に味わってみると、その印象は少し異なります。ジャマイカンラムの芳醇で力強い香りを軸に、バニラのやわらかな甘さ、焦がしバターの香ばしさ、ブルーベリーのほのかな酸味、そしてチョコレートの深みが幾重にも重なり合い、複雑で豊かな味わいを生み出しています。Letaが持つハーブの香りと穏やかな苦味が全体をすっきりとまとめ上げ、後味には驚くほど軽やかな余韻を残します。
まるでコースの最後を飾るような、余韻まで美しい一杯です。
LETA SPRITZ
シンプルだからこそ伝わる、Leta本来の魅力
イベントでは、Letaのシグネチャーカクテルともいえる「LETA SPRITZ」も提供されました。
レシピはシンプルで、Letaにトニックウォーターを合わせ、たっぷりの氷とオリーブを添えるだけ。Letaそのものの個性を最もストレートに感じられる一杯です。
アルコールが入っていないことを意識しなければ、ノンアルコールだとは気づかない人もいるかもしれません。それほど味わいに奥行きがあります。
Letaが目指した「大人のためのノンアルコール・アペリティーボ」というコンセプトを、最もシンプルな形で味わえます。
すべてのカクテルには、ビジョンがある
今回のイベントをより印象深いものにしていたのは、フラヴィオ・フェオラのカクテルに対する哲学でした。
「すべてのカクテルには、一つのビジョンがある(Dietro ogni cocktail c’è una visione)」
この言葉には、彼が目指すバーのあり方やカクテル作りへの姿勢が凝縮されています。
フラヴィオにとって、カクテルは単に喉を潤すための飲み物ではありません。一杯のグラスの中に、その店の世界観や土地の文化、季節の食材、そしてそこに流れるストーリーまでも映し出す表現手段なのです。
彼がレシピを考える際に重視するのは、「美味しいかどうか」や「見た目が美しいかどうか」だけではありません。「なぜこの素材を選ぶのか。」「なぜこの組み合わせなのか。」その背景まで含めて、一つひとつ丁寧に組み立てているのです。
一杯ごとに明確なテーマと物語があり、味だけではなく、その背景にある土地や文化まで感じることができます。


新しいアペリティーボ文化の始まり
ノンアルコールを選ぶことは、お酒を我慢することではなく、ごく自然な選択になり始めています。
Letaは、お酒を飲めない人のための代用品ではありません。
ハーブやビターな余韻を楽しみ、料理との調和を味わい、その日の気分に合わせて積極的に選びたくなる大人のためのアペリティーボです。
アペリティーボ文化は今、新しい時代へと歩み始めているのです。
Leta



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