Fantasie di Napoli

ピッツェリア「ファンタジー・ディ・ナポリ」は、どこか肩の力を抜いて過ごせる、あたたかい空気が流れる場所です。
ローマには、歴史あるカステルヴェルデの本店と、ショッピングモール グランローマ内の店舗があります。
ひとつは昔ながらの雰囲気を感じられる場所、もうひとつは現代的で入りやすい空間。
それぞれに違った魅力があります。
ここで提供されるのは、薪窯で焼き上げるシンプルなナポリピッツァ。余計なことはせず、素材の良さと技術で勝負しています。
店内にはナポリ出身のスタッフが多く、どこか明るく、自然体な雰囲気。
特別な演出があるわけではないのに、気づけば長く居たくなるような心地よさです。


ルカ・ラッロ の歩み
オーナーは、ナポリ出身のピッツァ職人ルカ・ラッロ。
彼は、世界大会での優勝経験も持つトップクラスの存在で、長年の経験に裏打ちされた生地づくりと確かな技術は、イタリア国内のグルメガイドでも高く評価されています。
そんなルカが生まれ育ったのはナポリのフォリグロッタ。
14歳から、父ヴィンチェンツォのもとで仕事を始めた彼にとって、ピッツァ作りはとても身近な存在でした。
「気づけば、ずっと手は粉だらけだった」という日々の中で、モッツァレラの準備や生地づくりなど、ナポリピッツァの基礎を学んできました。
母親は「働くか、勉強するかどちらかにしなさい」という考えの人でしたが、ルカは、父と一緒に働く道を選びます。
18歳になるとローマへ渡り、中心部の忙しいピッツェリアで、オーブンの熱気と慌ただしい声が飛び交う中、1日に1000枚、時には2000枚ものピッツァを焼き続けました。
「あの経験が、自分を一気に成長させてくれた」と振り返るように、スピードも技術も求められる環境の中で、自分のスタイルを磨いていったのです。
長い下積みを経た後に、自身の店「ファンタジー・ディ・ナポリ」をローマにオープン。
「心はナポリ人のまま」と、本場の伝統を大切にしながら、自分らしいピッツァを追求しています。
その実力はやがて国際的にも認められ、数々の賞を受賞。
「味覚の芸術家」と称されるまでに評価を高めていきました。
しかし、彼がそこで立ち止まることはありませんでした。


新たな挑戦 グルテンフリーピッツァ
「ピッツァ職人は、決して学ぶことをやめてはいけない。」
そう語るルカが次に挑んだのが、グルテンフリーという新たな領域でした。
ここ数年で高まる健康志向やアレルギーへのニーズに応えるため、「食べたくても食べられない人がいるなら、その人たちにも届けたい」という想いから、新しい生地作りに向き合い始めます。
しかし、グルテンフリーの生地は決して簡単なものではありません。
通常の生地のような弾力がなく、少しの力で崩れてしまう。
生地を伸ばすだけでも難しく、ナポリピッツァの象徴ともいえるコルニチョーネを美しく仕上げるのは至難の業です。
それでも彼は試行錯誤を重ね、技術を磨き続けました。
そしてその挑戦は、世界大会「ピッツァワールドカップ」での優勝という形で実を結びます。
当時のことを「本当に予想していなかった。」と語るように、それは彼にとって意外な勝利でもありました。
「自分の名前が呼ばれたとき、何も分からなくなった。気づいたら表彰台に立っていて…あの感動は今でも忘れられません。」


日本でもトップ職人
世界を舞台に活躍する ルカにとって、日本は特別な意味を持つ場所のひとつだといいます。
2024年に東京で開催された国際大会「ピッツァマスターカップ」では、彼は主役の一人として注目を集めました。
未知の食材をその場で組み合わせ、即興で一枚のピッツァを完成させるという、技術だけでなく、発想力と対応力が試される難しい競技で彼は見事に優勝したのです。
その完成度の高さは、著名な料理人やメディア関係者で構成された審査員たちをも魅了し、「エリート賞」という評価へとつながりました。
さらに翌年には、審査員として招かれる存在に。
ルカ は、これまで何度も日本を訪れていますが、強く印象に残っているのは、人の姿勢だといいます。
「日本人の情熱に圧倒されました。みんな真剣にピッツァを研究していて、写真を撮ったり、細かくメモを取ったりしている。その姿を見て、とても誇らしい気持ちになりました。日本は、刺激と誇りを与えてくれる大切な場所であり、第二の家のような存在です。」


ファンタジー・ディ・ナポリ というブランド
派手さよりも積み重ねを大切にしてきた彼の歩みは、まさに圧倒的な経験量がつくる実力そのものです。
そして伝統を守りながらも、新しいニーズに応えていく。
ナポリから届く食材や、丁寧に仕込まれた生地、そのひとつひとつに想いが込められています。
「ピッツァ作りには、芸術、情熱、愛、そして大きな忍耐が必要です。 そしてもちろん、技術も。 ナポリ人なら、それは心の中にあるものなんです。 約20年前にローマへ移り、すぐにこの街を自分の居場所のように感じました。 今ではローマに住むナポリ人のような存在ですが、アクセントはナポリのままです。」
そして今、彼の挑戦はローマにとどまりません。スペイン・アリカンテ県アルビルの海沿いには、新たに「ファンタジー・アルビル」をオープン。ラウンジバーを併設したこの店舗では、料理とロケーションを融合させた体験型のレストランとして、ナポリの魅力をさらに広げていきます。
ルカ・ラッロ は、優れたピッツァ職人であると同時に、「ファンタジー・ディ・ナポリ」というブランドを築き上げた起業家でもあります。
彼のピッツェリアは単なる食事の場ではなく、ナポリの文化そのものを体験できる場所として、多くの人を惹きつけているのです。


Fantasie di Napoli




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