ビームファミリー7代目によるイエローストーン・バーボン

ローマウイスキーフェスティバルでは、ビームファミリーの素晴らしいプロダクトを紹介する特別なマスタークラスが開催されました。
講師を務めたのは、ウイスキー製造における深い専門知識で知られるミケーレ・レイナ。スポンサーとなったのはメレガッリです。
今回のテイスティング体験で、私たちは異なるウイスキースタイルを通じた蒸留・熟成・経験の重要性を含む職人技の奥深さを学びました。


ライムストーン ライ・ウイスキーを深堀り
マスタークラスは、2010年にスティーブン・ビームによって設立されたライムストーン蒸留所の紹介からスタート。
1日にわずか9樽しか生産しない小規模な蒸留所です。
ミケーレは、ライ・ウイスキーについての技術的な解説をフレーバー抽出に関する科学的な側面に沿って説明していきます。
ライ・ウイスキーは、法律上、原料に51%以上のライ麦を使用しなければならないと定義されていますが、ライ麦は蒸留過程で多くの不純物を生み出しやすく、またフレーバーの揮発性が高いため、扱いが難しい原料でもあります。



香味成分である「フェルラ酸」や「リナロール」といった分子は、ウイスキーの特徴的な味わいにどう寄与しているのでしょうか?
このような繊細な分子を守るためには、低温で蒸留を行う必要がありますが、低温蒸留には不純物が残りやすくなるというリスクがあります。そこでこのリスクを避けるために新樽(内側をチャーした樽)を使うことが不可欠になってきます。
チャーというのは、「焼く・焦がす」という意味で、ウイスキーづくりにおいて、新品のオーク樽の内側をしっかりと燃やして焦がすのは、伝統的なプロセスでもあります。
火で焦がして炭化させることで、樽材の成分(リグニンやヘミセルロースなど)が熱分解され、これがウイスキーにバニラ香やキャラメルのような甘い香り成分を与えます。炭になった部分は、不純物をろ過してくれるフィルターの役割も果たし、さらに樽の内側にできる微細な亀裂や穴がウイスキーとの接触面を増やすことで、深く熟成した滑らかな風味に仕上げてくれます。
ライ・ウイスキーの世界を深く探求したい方は、ミケーレに関する下記の記事もご覧ください。
MGP Ingredients: Oro Whisky Barでの特別テイスティング

バーボンラベルの読み方
バーボンラベルを正しく読むためには、ライウイスキーに関する3つの分類の違いを知っておく必要があります。
Canadian Rye Whisky
カナディアンライウイスキーは、実際にライ麦を使っていなくても「ライウイスキー」と名乗ることができ、最大 9.09% までウイスキー以外のものをブレンドすることができる。つまり、カナダではライウイスキーという名前でもライ麦主体じゃないことがあり、ブレンドの自由度も高い。
Rye Whisky
ライウイスキーは、ライ麦を主原料としており最大 2.5% まで、香料・着色料・ブレンド素材を加えることが認められている。ある程度の調整は許されるが、ベースはしっかりライ麦なのがライウイスキー。
Straight Rye Whisky
ストレート・ライウイスキーは、ライ麦主体であり、なおかつ無添加という高い品質基準を満たす必要がある。さらに2年以上の熟成という、もっともピュアで厳格な規定に沿っている。

テイスティングセッション
1. マイナー・ケース・ストレート・ライ・バーボン
最初のテイスティングでは、マイナーケース ストレートライバーボンが紹介されました。このバーボンは、少なくとも3年間、新樽で熟成された後、独自のアメリカンクリームシェリーカスクでフィニッシュされています。独特でありながら非常に調和のとれた風味。
このバーボンの原料配合 (マッシュビル) は、ライ麦51%、大麦麦芽4%、トウモロコシ45%で、スパイシーな香り、グリーンの果実のニュアンス、そして柔らかな余韻が完璧に調和した味わいです。
ライ麦比率の高さが、ライ・ウイスキーとしてだけでなく、シェリー樽フィニッシュの影響を際立たせています。

スティーブン・ビームと伝統へのトリビュート
スティーブンの家族は、彼の名字からも分かるように、バーボンの歴史に深く根ざしており、伝統的な蒸留法を守り続けるという彼の献身は、彼のウイスキーの品質に表れています。
2015年、博物館で祖父が使用していたポットスチルを発見したスティーブンは、ルクスコ社と提携してイエローストーンの生産を担うことを決意しました。彼は、現代化学の力を借りて古いポットスチルで使用されていた酵母を分析し、バーボン本来のオリジナルの味わいを再現しようと試みています。
こうした古来の技術を復活させようとする彼の情熱が、イエローストーン・ウイスキーの独特の風味プロファイルを形作っています。
さらに、スティーブンはトウモロコシを非遺伝子組み換えにし、現代の品種よりもデンプン質の少ない品種を使用しています。



1. イエローストーン・セレクト・ケンタッキー・ストレート・バーボン・ウイスキー
口に含むと、すぐに強いトウモロコシの風味が口いっぱいに広がります。このバーボンは、この地域の伝統的なバーボン造りの製法を体現しており、豊かでフルボディな味わいは、トウモロコシの独特の特徴を際立たせ、深い満足感があります。


2. イエローストーン・アメリカン・シングルモルト・ウイスキー
原料は100%モルト大麦。MGP蒸留所で製造されたこのウイスキーは、滑らかで複雑なパンのような風味を持ち、アメリカンシングルモルトが生み出す多様なフレーバーを垣間見ることができます。


3. イエローストーン・ハンドピック・コレクション - ライオンズ・チョイス
卓越したコーンの風味を持つシングルバレル・ウイスキー。この樽はスティーブン・ビーム氏がメレガッリのために自ら選別したもので、調和のとれた洗練されたウイスキーに仕上がっており、風味と希少性の両方において際立っています。250本限定で生産されるため、まさにコレクターズアイテムと言える必見の希少品です。


ライムストーン・ブランチ蒸溜所
https://www.instagram.com/limestonebranch/
ミケーレ・レイナ
ウイスキー業界の著名人であり、スピリッツに関する豊富な知識と、高品質なプロダクトを広める情熱を持つ人物。
「London Bourbon Experience」および「Odyssey」の創設者。
https://www.odysseybarlounge.com/
グルッポ メレガッリ