鳥取のジャパニーズウイスキーを探る

BBCスピリッツのスペシャリスト、フェデリコ・レオーネによるマスタークラスは、特別な魅力を持っています。
まず第一に、彼が厳選するウイスキーのラインナップはどれも極上であり、試飲するたびに至福のひとときを味わえます。
さらに、フェデリコは卓越したストーリーテラーでもあります。
彼の語り口は聴衆を惹きつけ、まるで旅をしているかのような体験を提供してくれます。

今回、フェデリコ・レオーネは私たちを鳥取県へと誘います。
鳥取は、日本の西海岸に位置し、雄大な砂丘や山々が織りなす壮大な自然美で知られる地域です。その静かで人里離れた環境は、まさに穏やかで神秘的な雰囲気を漂わせています。
そんな鳥取の大自然の中で、伝統と自然が融合し、卓越したジャパニーズウイスキーが生み出される場所、それが倉吉蒸溜所です。

倉吉蒸溜所 – 伝統と革新の融合
倉吉蒸溜所は、日本の伝統を守りながら、独自のウイスキープロファイルを確立することを目指して設立されました。
鳥取県の中心部に位置するこの蒸溜所は、古くから受け継がれる技術と革新を融合させ、日本のウイスキー界で際立つ存在となっています。
その製法の根底にあるのは自然との調和。
地元産の厳選された原料を使用し、伝統的な手法を大切にしながら、個性豊かなウイスキーを生み出しています。




倉吉蒸溜所のウイスキー製造プロセス
倉吉蒸溜所のウイスキー造りは、細部にまでこだわった緻密なプロセスを経て完成します。各工程が最終的な味わいに大きく影響を与えるため、ひとつひとつが重要な役割を担っています。
1. 麦(Mugi) - 厳選された鳥取県産の大麦
倉吉蒸溜所では、地元・鳥取県で育った日本産の大麦を使用。地域の風土が反映された、豊かで本格的な風味を生み出します。
2. 製粉(Seifun) - 手作業による丁寧な粉砕
大麦の粉砕は手作業で行われ、発酵時に最良の風味を引き出せるように丁寧に調整されます。
3. 糖化(Toka) - デンプンを糖に変える重要な工程
この段階では、大麦に含まれるデンプンを糖に変換し、発酵の準備を整えます。ウイスキー造りにおいて不可欠なプロセスです。
4. 発酵(Hakko) - 自然発酵による深みのある味わい
倉吉蒸溜所では、自然発酵を採用。時間をかけてじっくりと発酵を進めることで、複雑で奥深いフレーバーが形成されます。
5. 蒸溜(Joryu) - 日本製ポットスチルによる伝統的な蒸溜
蒸溜は、日本製の伝統的なポットスチルで行われ、ウイスキーに滑らかでピュアなキャラクターを与えます。
6. 熟成(Jukusei) - バーボン樽から日本独自の木樽へ
ウイスキーは、まず3年間バーボン樽で熟成されます。その後、**ミズナラ(ジャパニーズオーク)やサクラ(桜の木)**の樽で追熟されることで、個性的な香りと風味が加わります。
このように、倉吉蒸溜所では伝統と革新が融合し、日本ならではのウイスキーが生み出されているのです。


The Tottori ブレンデッドジャパニーズウイスキー(バーボン樽熟成 43°)
熟成: 最低3年間バーボン樽で熟成
アルコール度数: 43%
フレーバープロファイル
- 香り: バーボン樽由来のスパイス、バニラ、キャラメルの甘いアロマ
- 味わい: 滑らかでバランスの取れた口当たり、ほのかな樽香とコクのある甘み
- フィニッシュ: 上品で余韻が長く続く
おすすめの飲み方
日本のウイスキーではハイボールが定番の楽しみ方ですが、The Tottoriはその持続的なフレーバーが特にハイボールに適しています。スッキリとした炭酸が加わることで、甘みとスパイスのバランスが際立ち、飲みやすく爽やかな一杯になります。

The Matsui シングルモルトジャパニーズウイスキー The Peated (48°)
アルコール度数: 48%
フレーバープロファイル
- 香り: フレッシュなフルーティーさとほのかなスモーキーなアロマ
- 味わい: 甘みと酸味のバランスが取れたフルーティーな風味、奥深いモルトのコク
- フィニッシュ: ピートのスモーキーな余韻が長く続く、心地よいフィニッシュ
特徴
通常のピーテッドウイスキーよりも飲みやすさと複雑さを兼ね備えたユニークな表現。スモーキーな要素が強すぎず、フルーティーなフレーバーとのバランスが絶妙で、ピートウイスキー初心者にもおすすめ。

The Matsui Sakura シングルモルト シングルカスク (48°)
アルコール度数: 48%
フレーバープロファイル
- 香り: 桜樽由来のフローラルなアロマが広がり、優雅で繊細な印象
- 味わい: しなやかで包み込むような温かみがあり、華やかな香りとともに奥行きのある味わい
- フィニッシュ: 持続性のあるフィニッシュで、再び桜のニュアンスが感じられる
特徴
桜樽での熟成により、独特のフローラルな香りと温かみのある味わいが際立つ一本。華やかさと力強さを兼ね備えた、唯一無二のシングルモルトであり、日本ならではのエレガンスを表現したウイスキーといえる。

The Matsui Mizunara シングルモルト シングルカスク (48°)
アルコール度数: 48%
フレーバープロファイル
- 香り: ミズナラ樽由来のスパイシーでウッディなアロマが際立つ
- 味わい: 濃厚でスパイス感が強く、黒胡椒のようなピリッとした刺激が特徴
- フィニッシュ: 力強く持続性があり、オークの複雑な風味が長く残る
特徴
ミズナラ樽での熟成により、日本独自のスパイス感や木の香りが表現された一本。複雑でアロマティックなプロファイルが、ミズナラの個性を最大限に引き出した独特のシングルモルトとなっている。

The Kurayoshi ピュアモルトウイスキー 12年 (43°)
アルコール度数: 43%
フレーバープロファイル
- 香り: ドライフルーツ、ハチミツ、ほのかなスモーキーさが調和
- 味わい: 滑らかでバランスが取れており、ナッツやバニラ、ウッディなニュアンスが際立つ
- フィニッシュ: 長く続く余韻があり、オークの温かみとスパイスのアクセントが心地よい
特徴
熟成による奥深さと日本のウイスキーらしい繊細さが融合した一本。スコッチのクラシックな要素を持ちながら、クライヨシ蒸溜所の伝統と洗練を感じられるタイムレスなピュアモルト。


フェデリコ・レオーネ
https://www.instagram.com/federico_leone84/
BBC スピリッツ:
https://www.instagram.com/bbcspirits/
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