フラディアヴォロ - トラステヴェレ

カクテル好きに贈るピッツァの名店
May 13, 2025
-
Bar
-
6
MIN

ローマで最も魅力的な旧市街のひとつ、トラステヴェレ。
石畳の路地が入り組み、歴史と情緒に包まれたこのエリアには、魅力的な飲食店がひしめいています。今回はその中でも、カクテル好きなら絶対に立ち寄りたいピッツェリアをご紹介します。

その名前は「フラディアヴォロ(Fradiavolo)
一歩足を踏み入れると、ヴィンテージ感あふれるインテリアが出迎えてくれます。壁には古いコミックや映画のポスター、ビニールレコードが飾られ、どこかポップで遊び心のある空間。外には通りに面したテーブル席、さらに奥にはゆったりとくつろげる中庭席も。

この店の魅力は、もちろん美味しいピザ(それは後ほどご紹介)だけではありません。なんとここでは、あのローマ屈指のカクテルバー「フレーニ・エ・フリツィオーニ(Freni e Frizioni)」の特製ドラフトカクテルを楽しめるのです。実はこのお店、フレーニ・エ・フリツィオーニから徒歩3分という近さにあり、カジュアルな雰囲気の中で、本格的な一杯を味わえる最高のペアリング体験が叶います。

注目のカクテルはこちら

Americano(アメリカーノ)
カンパリ+スイートベルモット+ソーダからなる王道のイタリアンカクテル。ほろ苦く爽やかな味わいで、前菜とも相性抜群。

Moscow Mule(モスコミュール)
ウォッカにジンジャービア、ライムジュースを加えた、すっきりスパイシーな定番カクテル。

Spritz(スプリッツ)
アペリティボビターズに、スパークリングワインとソーダを加えた、軽快な食前酒。

Hugo Spritz(ユーゴ・スプリッツ)
エルダーフラワーのリキュールにスパークリングワイン、ソーダを加えた、ミントが香る華やかな一杯。気分をリフレッシュしたいときにぴったりです。

フラディアヴォロ流、贅沢すぎるアペリティーボ

ピザが主役の店ではありますが、その前にぜひ味わってほしいのが、アペリティーボセットです。
これがとにかく充実していて、初めて見る人はそのボリュームに驚くはず。2〜3人でシェアしてちょうどいいサイズ感で、まるで「イタリアうまいもの詰め合わせプレート」とでも言いたくなるような内容です。

まず、目を引くのが南イタリアの名物タラッロ・マンドルラート
アーモンド入りでカリッと香ばしく、手が止まらないおつまみスナックです。

続いて登場するのはプーリア地方の誇るフレッシュチーズ、ブッラータ
ナイフを入れると中からとろけ出すクリーミーなブッラータは、新鮮なミルクの贅沢な味わい。

シチリアからは、ひよこ豆の粉で作る伝統的なフリットパネッレ
外はカリッと香ばしく、中はほっくり柔らかで、どんなカクテルにも相性抜群。

さらに、小さな揚げピザモンタナリーネ・アル・ポモドーロは、濃厚なトマトソースがジュワッと広がる贅沢なひと口。

旨味が凝縮されたルカニア産のドライトマト(Pomodori Secchi)も忘れずに。濃い味わいが、カクテルの風味を引き立ててくれます。

そして、ピッツェリアならではのクオリティを感じる炭火焼きフォカッチャ
シンプルなのに、口に入れた瞬間「これは違う」と思わせる香ばしさ。

そこに合わせるのが、香り高くコクのあるモルタデッラ・ボローニャ IGP
このボローニャ産のソーセージをフォカッチャに挟んで食べる。これがローマでは今、立派なごちそうスタイルとして定着しつつあります。

一品一品のクオリティが高く、素材の良さがしっかりと伝わって来るのを感じるでしょう。 これだけ詰まって12.5ユーロというのは、正直かなりお得。 このアペリティーボだけを目当てに、軽く一杯飲みに立ち寄るのも大いにアリです。

主役のフラディアヴォロのピッツァ

ここに来たら、やはりメインはピッツァ
実はフラディアヴォロ、イタリアの権威あるランキング「50TopPizza」で世界の職人ピザチェーン部門・トップランクインを果たしている実力派です。

テーブルに敷かれたメニューを見た瞬間から、期待感が高まります。

選べる5つの生地スタイル

まず驚くのが、ピザ生地を5種類から選べること。
これはめったに見られないレベルのカスタマイズと職人技であり、その材料と技術にどれほどの愛情が注がれているかを物語っています。

Romano(ロマーノ)

薄焼き&クリスピーな、伝統的ローマスタイル。パリッと軽い食感が魅力。

Classico(クラシコ)

もちもちとした食感と香り豊かな、王道ナポリ風スタイル。

Nero(ネーロ)

炭入りの黒い生地で、ヘルシーかつ軽やか。見た目のインパクトも抜群。

Integrale(インテグラーレ)

全粒粉入りで、栄養価と香ばしさのバランスが絶妙。

Senza Glutine(センサ・グルティネ)

グルテンフリー対応。アレルギーが気になる方にも嬉しい。

どの生地もタンパク質とミネラル豊富な粉を使用し、驚くほど軽やかで消化にも優しいのが特徴です。

3つのピザスタイル、トッピング

フラディアヴォーロでは、ピザを3つのカテゴリーに分け、それぞれに独自の風味があります。伝統主義者でも、スパイス愛好家でも、冒険好きな人でも、きっと気に入るものが見つかります。

Tradizionali(トラディツィオナリ)

マルゲリータやマリナーラなど、時代を超越した人気を誇るクラシック。

例えば、

ブファラ:濃厚なバッファローモッツァレラチーズをトッピング

コット:香ばしいイタリアンハム付き

オルトラーナ:季節の野菜がたっぷり

カプリチョーザ:肉、野菜、オリーブのボリュームたっぷりのミックス

Diavole(ディアヴォレ)

スパイシー好きにおすすめなのはこちら。ペパロニ、スモーク、アンチョビ、辛口トマトなど刺激的なトッピングが揃います。

Pop(ポップ)

フラディアヴォロならではの創作系。ポルケッタやフムス、ベジタリアン仕様など、大胆なフレーバーとモダンなひねりが好きな方には、このセクションがぴったりです。

いずれも素材の質に一切妥協なし。どのカテゴリーを選んでも間違いなしです。

おすすめのトップ2

Diavola di Mare(ディアヴォラ・ディ・マーレ)

これは完全に際立っています。炭入りの黒い生地に、モンティ・ラッターリ産フィオール・ディ・ラッテチーズ、カンタブリア産アンチョビ、スパイシーな「ディアボレット」ソース、天日干しトマト、バジル、オリーブオイルをトッピングしています。
塩気、スパイシー、コクが三位一体となった、濃厚なのに軽やかで癖になるバランスです。

Peperoni(ペパロニ)

イタリア風にアレンジしたアメリカンスタイルのピザに、遊び心溢れる逸品。
ラ・コンチェッティーナのプレミアムゴールドセレクションのトマトソースに、ラグランダのスパイシーなサラミ、アカシアハチミツ、新鮮なバジルにフィオール・ディ・ラッテ。
甘さと辛さが絶妙に重なり合う、ふわふわ生地との相性も抜群。ナポリスタイルの進化形を感じる一皿です。

耳の部分まで楽しめる魔法のソース

フラディアヴォロの隠れた名物といえば、ピザの耳用の特製ディップソース。 ンドゥイヤ(カラブリアのスパイシーなポークスプレッド)とバーベキューソースをブレンドしたもので、残った耳に新たな命を与える“第二の味変”体験。この発想、天才的です。

ビール党にも嬉しいこだわり

ピザとくればビール。もちろんフラディアヴォロでは、最高のセレクションが用意されています。 特におすすめは、イタリアのクラフトビールブランド「バラディン」が特別醸造したIPA「Frippa(フリッパ)」。フレッシュでホップの効いた味わいで、ピザのコクを完璧に引き出しています。パリッとしたアロマティックな香りが心地よく、ピザの脂や塩気とバッチリの相性。

新時代ピッツェリアのかたち

この新店舗は、ローマのトラステヴェレ地区ポルタ・セッティミアーナ通り8番地に位置します。
ヴィンテージ感・サステナビリティ・デザイン性が調和する、今どき空間のピッツェリアです。

リサイクル素材を生かした店内には、温かみのあるインテリアと、ゆったり過ごせる美しい中庭も完備。まさにローマのエスプリを表現した、クラシックとモダンの融合を感じます。

32店舗目のフラディアヴォロが特別な理由

このトラステヴェレの店舗は、なんと32店舗目、ローマ市内では3番目の開業となります。

フレニ・エ・フリツィオーニの特製カクテルが飲めるのはローマの3店だけ。
本格的なピッツァと一緒に、ローマを代表するカクテルバーの味が楽しめる。この組み合わせは、他ではなかなか味わえません。

気温が暖かくなってきた今、屋外でアペリティーボタイムを楽しむのに最適な季節です。

フラディアヴォロの中庭は、トラステヴェレ地区で最大級の私有庭園の一つであり、建築美や植物の豊かさだけでなく、歴史的遺産としての価値も兼ね備えています。当時の面影を大切に保ちながら手入れされたこの空間で、ローマの何世紀にもわたる歴史に思いを馳せるのも良いでしょう。

ローマに来たら絶対に訪れたい一軒

本格ピッツァと最高のカクテル、それにイタリア中の名品を集めたアペリティーボ。
これほど完璧で理想的なアペリティーボ体験ができる店は、他にはありません。

ローマのリアルな日常を味わいながら、気取らず、だけど最高に美味しい時間を過ごせる場所。もし友人がローマを訪ねてきたなら、間違いなく案内したくなる一軒です。

フラディアヴォロ
フラディアヴォロ
RELATED POST