Hiromi La Terrazza

ローマの屋上で楽しむ日本酒と和の時間
March 31, 2026
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Bar
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MIN

ローマのテラスといえば、景色を楽しむ場所もあれば、アペリティーボが主役の場所、料理をじっくり味わう場所もあります。

そんな中で Hiromi La Terrazza は、そのどれか一つに偏るのではなく、モンティ地区の屋根越しの景色、現代的な日本料理、そして日本酒をバランスよく組み合わせた空間です。

場所は、77ホテルの最上階。

これまでの Hiromi グループのコンセプトを、より落ち着いた大人の夜の体験へと広げた新しい展開です。

ここで特に印象的なのが日本酒の存在。単なるペアリングではなく、料理と並ぶ主役のひとつとして設計されていて、それぞれの一皿に寄り添いながら、味の強さやバランス、旨味の流れに合わせて選ばれています。

日本酒は、時には木の枡で提供されます。

もともとは米を量るための道具でしたが、今では特別な場面で使われる器。

このさりげない演出が、Hiromi ブランドのスタイルをよく表しています。

日本らしさをそのまま再現するのではなく、本質的な要素だけを自然に取り入れているのです。

料理も同じ考え方で、無理に作り込まず、日本の食文化に根ざしたシンプルさを大切にしています。

まずは酢の物。きゅうりやわかめ、サーモン、タコ、エビを軽く酢で和えた一皿で、口の中をさっぱり整えてくれます。

続いては、日本料理らしい技法「炙り」。

表面だけを軽く焼くことで、食感と風味に変化をつけます。鯛や地中海産の本マグロの大トロに、ポン酢の爽やかな酸味が脂のコクを引き締め、絶妙なバランスに仕上がっています。

中でも印象的だったのが、Hiromiスターター。

ここでは、日本の家庭の味にフォーカスしています。たとえば胡麻和えは、ほうれん草をほんのり甘い胡麻だれで和えたもの。もともとは子どもに野菜を食べさせるための工夫として広まった料理で、どこか親しみのある一皿です。

アボカドとキャベツを詰めたサーモンや、パリッとしたワンタンが加わり、ぐっとリラックスした雰囲気に。この一皿では、日本の家庭料理の良さがしっかり感じられます。

前菜に合わせたのは、小西酒造の大吟醸ひやしぼり。

1550年創業の酒蔵が造る、とても繊細で上品な日本酒です。

日本酒ソムリエのはるなはこう解説します。大吟醸は米を半分以上削って造られ、磨けば磨くほど味わいがクリアで洗練されます。こうした軽やかな日本酒は、コースの前半のように繊細な味わいの料理とよく合います。日本料理と日本酒のペアリングは、対比ではなく寄り添うことが大切なのです。

握りに進んでも、その考え方は変わりません。

醤油はほんの少しだけ、シャリではなくネタにつけるのがポイント。バランスを崩さないためです。

日本料理では魚以上に、ご飯が大切な存在であることも感じられます。

わさびの質の高さも印象的でした。

握りのように味わいがしっかりしたものには、「生詰 こくあがり」 という日本酒を合わせます。

一度だけ火入れされたこのお酒は、ややコクがありつつもクリアさを保ち、よりリッチな料理にもきちんと寄り添ってくれます。

一方、裏巻きはより自由で現代的なスタイル。

和牛やトリュフ、サツマイモ、ハラペーニョなど、さまざまな食材を使いながらも、全体のバランスはしっかり保たれています。

裏巻き自体は、伝統的な日本料理ではありませんが、今ではすっかり定着したスタイル。

自由な組み合わせが楽しめるのも魅力です。特に印象に残ったのは、ハラペーニョと鯛、そしてホタテとネギの組み合わせでした。

よりしっかりした味の料理には、それに合う日本酒が必要です。

そこで提案されたのが「黒松 剣菱」。熟成による深みとしっかりした旨味が特徴で、存在感のある料理にも負けません。木の香りを引き立てるため、こちらも枡で提供されました。

デザートは、Hiromi Cakeで作られているマダガスカル産チョコレートのムース、マンゴーとココナッツのムース、そして柚子のタルトです。全体の流れに自然につながる、すっきりとした締めくくりでした。

最後には、バーテンダーのフィアメッタによるカクテルも。ウイスキーハイボールとシグネチャーカクテルが、口の中をリセットし、心地よく夜を締めくくってくれます。

Hiromi La Terrazzaは、ローマのルーフトップの楽しみ方そのものを提案しているような場所。

ゆったりとした時間の中で、街を眺めながら日本酒を味わう。そんな体験が自然と物語になっていきます。

Hiromi La Terrazza
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